白髪は、生命の危機に直接関係がないため、今までそのメカニズムの解明はあまり進んでいませんでした。しかし、ここ最近になってようやくそのメカニズムがさまざまな角度から研究され解明されつつあります。
そもそもなぜ髪が黒いのかご存知ですか?
髪が黒く見える正体は、実はメラニンという褐色の色素です。黒インクのようなものと考えると分かりやすいでしょう。日本人の髪には通常この色素がまんべんなく点在し、その結果、髪が黒く見えるのです。 メラニン色素は細胞を紫外線から守るためにあります。細胞の核にはDNAという大切な情報があります。このDNAは紫外線に弱く、もし壊れてしまうとガンなどの重大な病気になる可能性が高くなります。つまり、黒い髪は紫外線から頭皮を守っているのです。
よく、オゾン層破壊が原因で地上に届く紫外線の量が増大し、皮膚ガンが増えていると言われています。しかし、実際にはメラニン色素の少ない白色人種に多く、黄色人種にとってはそれほど深刻ではありません。黄色人種には必要なときに必要な量のメラニン色素を即座に作ることができる能力を備えており、そのメラニン色素によって細胞がしっかり守られているからだと考えられます。
黒い髪には大切な役割があったのですね。
白髪の原因
白髪の直接的な原因は毛母細胞と隣り合って存在するメラノサイト(色素細胞)の機能が低下し、メラニン色素を作ることができなくなり、その結果、髪の毛が白く見えてしまうことが原因です。
では、なぜメラノサイト(色素細胞)の機能が低下しまうのでしょうか?
現在までに考えられている白髪の原因は次のとおりです。
通常、白髪の人はこれらのうちどれか又は複数が原因となっていることが考えられます。
1、老化 |
老化によって細胞の活性が弱まるためです。
これは個人によってかなり違いますが、平均すると白髪の発生は30代中頃からポツポツと目立ちはじめ、年を重ねるごとに徐々に増えていき、50代中頃になると髪の半分近くが白髪になります。よく「白髪になる人はハゲない」と言われますが、これは全くの間違い。白髪であっても薄毛の方はたくさんいます。薄毛ということは白髪も目立たないため、そう勘違いされているのではないかと思います。 |
2、ミネラル不足
などの栄養障害 |
ミネラルをはじめ、アミノ酸、ビタミンなどの栄養素は毛母細胞や色素細胞が活発に働くために必要です。これらの栄養素が不足すれば、当然年齢に関係なく機能が低下してしまいます。
ダイエットや偏った食事、また、きちんと食事をしているつもりでも食事自体の栄養バランスが悪く、なかなか必要な栄養素を十分に補うことが難しくなってきています。また例え十分な栄養をバランス良く摂っていても血行不良が原因で栄養不足になることもあります。 |
3、生活習慣 |
髪が最も成長するのは、一日の中で副交感神経が活発になる午後9時〜午前2時の時間です。睡眠不足や夜更かしなど不規則な生活を送っていると細胞が活発に働くことができません。 |
4、遺伝 |
白髪は遺伝的要素に強く影響されると言われていますが、まだすべて解明されているわけではありません。遺伝以外にも複数の原因が影響している場合もあるので、一概に遺伝が原因とも言い切れません。 |
5、ストレス |
ストレスは髪に強い影響を与えます。ストレス状態が長く続くと自然治癒力の低下などの原因になるとともに、それらからくる悪影響を増幅させてしまいます。 |
6、病気・疾患 |
円形脱毛症の後や、慢性の胃腸疾患、マラリア、貧血症、甲状腺疾患などの病気があると、白髪が増えることがあります。また薬の副作用で白髪になることもあります。数ヵ月という短い期間で急激に白髪が増えた場合はこちらの可能性が高いと言えるでしょう。 |
メラノサイト(色素細胞)が色素を作り出すメカニズム
実は、誰でも毛根で髪の毛が作られた瞬間は白髪なのです。そこに瞬時にメラノサイトが黒い色素を埋めていくため、髪が黒くなるのです。つまり、髪の毛そのものを作る工場(毛母細胞)と、その髪の毛に色を付ける工場(色素細胞)は別物なのです。このうち色素細胞だけが弱り、色素を作れなくなると白髪となって生えてくるわけです。
そもそも、黒色の正体、メラニン色素の原料は髪の毛を構成している18種類のアミノ酸の中の一つであるチロシンです。
そしてメラノサイト(色素細胞)はこのチロシンをチロシナーゼという酸化酵素によって褐色のメラニン色素に変えていくのです。
チロシナーゼが働くにはミネラル(銅)が必要
チロシンをメラニン色素に変えるのに絶対不可欠な酵素、チロシナーゼですが、このチロシナーゼは銅を含みます。
銅がなければ、このチロシナーゼは正常に働いてくれません。
つまり、チロシンと銅は黒髪を作る上で絶対に不可欠なのです。
最近では、白髪の原因はミネラル分、とくにこの銅が不足することが一因として考えられています。
白髪を予防する食事とは
白髪の予防にはミネラル(銅)の摂取がとても大事になってきます。
私たちの体はミネラルを体内で造り出すことが出来ないので、毎日の食事からバランスよく補うしかありません。
このミネラル(銅)を多く含む食品として
1、穀類・イモ類 |
そば、玄米、さつまいも、じねんじょ |
2、豆類・種実類 |
松の実、えごま、カシューナッツ、大豆、納豆、えだまめ |
3、野菜類 |
かんぴょう、ごぼう、バジル、くわい、ニンニク、パセリ、モロヘイヤ |
4、果実 |
干しぶどう、あんず、プルーン |
5、海藻類・きのこ |
干しのり、アオノリ、味つけのり、ひじき、干ししいたけ、ほんしめじ |
6、魚介類 |
ホタルイカ、あんこうのキモ、にぼし、エビ、カニ |
7、その他 |
こしょう、とうがらし、レバー、ココア、チョコレート |
以上のような食品があげられます。
しかしながら、最近の日本人の食生活では必要な量のミネラルが毎日の食事だけでは十分に摂ることが難しくなっているのが現実です。
現代の成人病なども、実は慢性の栄養失調状態がもたらしているといわれています。
なぜ、この飽食の時代にミネラル不足が増えているのでしょうか。
要因は大きく3つ考えられます。
きちんと食事をしているつもりでもミネラル不足になる要因
1、食生活の変化 |
現代人の食生活は「高脂肪高カロリーの食事・インスタント食品や加工食品の利用」などがある。これらの食事からではバランスよく栄養が摂れないばかりか体内のミネラルバランスを乱してしまう。 |
2、土壌の問題 |
野菜や果物・水にミネラルを供給するのは土壌です。
しかし日本の土壌は、もともと欧米に比べるとミネラル分が少ないのです。その上、これまで戦後60数年間という長い間田畑で化学肥料や農薬・除草剤などが大量に使われてきたために土壌のミネラルバランスが大きく崩れてしまっています。さらに追い討ちをかけるように酸性雨による土壌中のミネラル分の溶出が止まりません。そのため、そのような土壌で栽培された食物自体に含まれているミネラルの量も昔に比べて大きく減少しているのです。また、それらを原料にしている加工食品も同様です。 |
3、品種改良や
栽培方法の変化 |
味や見た目、病虫対策、収穫量、傷みにくさなどを最優先した品種改良や遺伝子組み換えが頻繁に行われ、同じ作物でも20年前の作物とは栄養価が随分変わってしまいました。当然これらの作物は栄養価のことまでは考えられていません。また、水耕栽培など本来の生育環境と異なる栽培方法などが増え、これらもまた同様です。 |
しかし、これらの食品が良いからと言って、やみくもにたくさん食べ過ぎるのも問題です。なぜならば中には脂質や糖質などが多いものもあり、摂りすぎると高カロリーになったり、また魚介類に関しては近年の海洋汚染の影響で、有毒な水銀なども一緒に多く摂ってしまう可能性があるからです。それでなくとも日本人は世界と比べるとダントツで毛髪中に含まれる水銀濃度が高いのです。
※厚生労働省も妊娠中の女性にクロマグロなど一部の魚介類の摂取を控えるよう注意をしてるほどです。
では、いったい何を食べたらいいのでしょうか!?
まだ、価格面で割高ですが、毎日の主食を玄米にし、有機無農薬で作られた旬の作物を中心に、魚介類・海藻類・肉類などを適宜いただくと良いでしょう。
それでも、「とても毎日は無理!」という人には、サプリメントで補給するのもひとつの手です。その場合一概にミネラルと言っても製品によってミネラルのバランスや質に格段の差がありますので、その選定には注意が必要です。
目安としてはどんな人を対象に考えられたミネラルバランスになっているのか、また吸収率が格段に良いとされる、グルコン酸銅を含むものが良いでしょう。 さらに吸収されたミネラルを効率よく活用する成分を含んでいるとベストですね。
海岸地方の人は白髪が少ない!?
ある調査では海岸地方より内陸地方に住む人のほうが白髪が多かったという報告がありました。
これは、海産物には豊富にミネラルが含まれているため、その恩恵により海岸地方に住む人のほうが白髪が少なかったのではないかと考えられます。
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